【FCI】なんて面白い学校!FC今治高校里山校 辻校長先生にインタビュー part 2
2025年5月28日
皆様こんにちは!Kanaです。
今治しまなみ通信では、これまでおすすめスポットやグルメ情報、今治に関するニュースなどを発信してきましたが、新しく「今治人」というカテゴリーをスタート。
今治で暮らす方、今治で働く方、今治出身者、今治が好きな人、とにかく今治に関係する素敵な方々を、インタビューを交えてご紹介していくという企画です。
今回は、いま話題のあの学校の、校長先生インタビュー、Part 2です。
part 1はこちらからどうぞ。
今回も素敵なお話です。是非、最後までお読みください。
今田「子供たちはやりたいことを持っている子が多いと仰っていましたが、将来こうなりたい、こういうことがしたい、といったものがあるのでしょうか?」
辻先生「職業ベースというよりは、『社会からこんなことをなくしたい』という社会課題の解決をしたいという子も多いですね。生徒たちの中には大人が勝手に決めたルールに疑問を持って中学校時代はほぼ学校に行っていなかったという生徒もいます。うちの学校はそういうルールがないので、中学時代には学校に行っていなかったけれど、今は自分たちで新しいルールを作れるという気持ちで毎日楽しそうに学校に来ている、という子もいます。そういった子たちが、さまざまなゲスト講師の方々と出会って刺激を受け、視野が広がったり視座が一つ上がって、またやりたいことがはっきりするということもありますね。」
今田「素晴らしいです。視野が広がって視座が上がる、まさに人生が変わる出会いですね。」
辻先生「ある女の子は、海外の方と交流したいということで今治にいる海外から来た技能実習生の方々にインタビューをしています。そして彼らの話を聞いているうちにその技能実習生の方々に、せっかく日本に来てくれたならもっと日本を楽しんでほしい、満喫してほしいという思いが芽生えて、そのために活動している子なんかもいますね。」
今田「高校生にして、そういう視点で人の為にものを考えて、考えるだけではなく実際に動いているというのは本当に素晴らしいですね。そんな風に一人一人のやりたいことに合わせて動けるカリキュラムがあるのでしょうか?」
辻先生「そうですね。全員それぞれが『マイプロジェクト』通称『マイプロ』を持っているので、マイプロを進めつつ、全体でやっている探究という授業もあります。多くの学校が3年間で大体100単位程度をとって卒業になったり、進学校なら英語も週7時間あったりすると思いますが、うちはその真逆です。文部科学省が出している高校の卒業に必要な単位は74単位で、その中に必履修の単位があります。我々はその必要な単位を超える学科科目の時間は限りなく減らし、あいている時間を自分たちでデザインできるような形をとっています。」
今田「全員がそれぞれ自分でプロジェクトを持っているって、なんだか社会人みたいですね!そういうものを持ちながら日々過ごしていると、ものの見方や感じ方もそれぞれによって変わって来そうですね。学校のカリキュラムの構成も他の学校とは全然違うんですね。生徒さんたちがお遍路をされるとも伺いました。」
辻先生「そうなんです。高校卒業に必要な74単位の中にも、20単位まで学校設定科目というものがあって、そこは各学校が独自に設定ができます。うちでは特徴的なのは、毎週水曜日にやっている授業で、1年生の前期は野外体験教育というのを毎週3時間やっていて、キャンプのスキル、応急処置のスキル等を学んで9月にはお遍路を3チームに分かれてやります。」
今田「なるほど、お遍路をするにあたって必要なスキルを身に着けて9月にお遍路をするわけですね。どれくらいの日数で行かれるのですか?」
辻先生「5泊6日です。約120~130kmを歩くんですけど、本番まで半年かけてどういうルートで行くか、どこに泊まるか、どこでご飯を作るかなども全部子供たちが計画を立てて決めます。」
今田「泊まる所やルート、ご飯をどこで作るかまで自分たちで決めるんですか!いざ本番になってトラブルが起きたりもするのでしょうか?」
辻先生「もう初日からキャンプ場につかない、ということが起きましたね。仕方がないから『公園』という名前は一応ついている、ただの木の下で寝るみたいなことがありました。」
今田「なんと!それは一般的な学校だったらありえないですね(笑)」
辻先生「6日間、そういうことを経験して帰ってくると顔つきが変わってましたね。」
今田「逞しくなりそうですね。さまざまなことを感じて、考えて、乗り越えて、人間として一気に成長する6日間なんですね。」
辻先生「あとは昔で言う『特別活動』が今は『総合的な探究』の時間になっているんですけど、うちは週6時間をその『探究』にあてています。なので、プロジェクトに取り組む時間だったり、学校を飛び出す時間というのが結構多いですね。」
今田「聞いているだけでもワクワクしますね、実践的に取り組む、実際に行動する時間が本当に多いのですね。」
辻先生「そうですね。『探究』はチームに分かれて企業さんに受け入れていただいて、半年間企業さんと一緒にプロジェクトに取り組んでいます。例えば『食」に興味のある子たちは『さいさいきて屋』(JAおちいまばりグループの直売所)さんで研修をしたり、有機栽培の柑橘農家さんとコラボレーションして新しいパスタメニューを考案し、Sai&Coさんで提供するということをしていますね。」
「えひめ食農デザインゼミ」に所属する生徒たちは今治産の有機かんきつと有機レモンの魅力を発信すべく「えひめ食農デザイン株式会社」(今治市延喜、代表:小林友香子氏)と連携してメニュー考案や商品開発をし、オリジナル商品2品を期間限定で実際に販売したのです。
一つは太陽を浴びて育った、今治の井上果樹園さんの有機レモンを使った「有機レモンと鶏肉のクリームパスタ」(1350円)。
そしてもう一つは同じく井上果樹園さんで農薬を一切使用せず、一つ一つ手作業で丁寧に育てられたみかんを使った「今治産温州みかん(有機)のレアチーズケーキ」(400円)。
どちらも本格的で、今治の柑橘のいいところが存分に引き出されたメニュー。
生産者を訪ね、ターゲット層のペルソナ設定もし、企画・試作を重ねたもの。
商品のネーミングやPOP制作も生徒の皆さん自ら考案しました。
※詳しくはこちらをご覧ください。
今田「入寮と通学の選択制で、寮に入っても3年生からは退寮、町の中で住むところを探す、空き家を改修して住むのもOKということを伺いました。これは面白いですね。地域の方々との繋がりもできそうです。」
辻先生「『Voyage』のなどの活動を通して地域の方々との繋がりが広がっていて、今もそこで知り合った方の家で郷土料理の作り方を教わって、お礼に草刈りをして帰るみたいなことをしています。家は、皆で空き家を改修して皆でシェアハウスするのもOKですし、一人で住んでいるおじいちゃんやおばあちゃんと仲良くなって呼んでもらったら、同居させてもらうというのもあると思います。空き家をリフォームする際は、さすがに子供たちだけでは危ないと思うのでFC今治の関係先の大手の建設会社さんにも入っていただいて、リフォームした家は後輩たちにも引き継いでいこうという形でやっていますね。」
今田「地域の方々との繋がり、今治で暮らしていくにあたってとても大切ですね。人と支え合って生きていくことを、身をもって感じられる環境ですね。本当に素晴らしいです。今現在、生徒の皆さんは食事はどうされているのでしょうか?」
辻先生「月曜日~土曜日までは、朝と夜は寮で食事が出ます。日曜日だけ自分たちで料理をしていますね。あとは平日もお昼は出ないので、寮にミニキッチンでお弁当を作ってくる子もいれば、朝に食券を買うと、お昼に温かいお弁当を届けてもらえるのでそれを利用している子もいます。」
昼休みの時間に教室にお邪魔すると、生徒さんがお弁当を見せてくださったのですがとてもおいしそうで、自分で作ったと教えてくれました。
インタビューはまだ続きます。今回はここまで。
「こんな学校で高校時代を過ごせるFC今治高校里山校の皆さん、うらやましい!」と思ってしまうくらい本当に楽しそうな学校。
2期生の入学者が一気に増えていることからもわかるように、これからどんどん人気の学校になっていくでしょう。
この後まだまだ、先生ご自身についての深掘り、生徒さんたちのエピソード、実際に私が生徒の皆さんとお話しした様子などもお届けします!
次回もお楽しみに♪
Written by 編集長 今田果奈
FC今治高校 里山校
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