【編集長旅日記】神の島、大三島に鎮座する「大山祇神社」(前編)
2025年4月28日
皆様こんにちは、編集長のKanaです。
しまなみ海道の中心にあり、「神の島」と呼ばれる大三島。
近年、移住者も多く、おしゃれなお店や素敵な宿泊施設などが増えています。
今治の市街地からはバスやフェリーでアクセスでき、もちろん車や自転車などでしまなみ海道を通ってドライブやサイクリングをするにも最高の島です。
芸予諸島最大の島であり、どこか海外のリゾートのような雰囲気もありながら、しまなみ海道を通って福山まで行けば新幹線の駅があるので便利。
そんな大三島ですが、「神の島」と呼ばれるのは、「大山祇神社」(おおやまづみじんじゃ)が鎮座しているからなのです。
今回は、古くからの歴史があり、四国随一の強力なパワースポットとも言われる大山祇神社をレポートします。
大山祇神社は、全国にある山祇神社(大山祇神社)の総本社で、仁徳天皇(にんとくてんのう)が大三島に大山祇神(おおやまづみ)を祀ったのが始まりとされています。
主祭神の大山積神は「三島大明神」とも呼ばれており、三島神社は四国を中心に新潟県や北海道まで分布しています。
敷地内に入って目に入るのは「天然記念物 能因法師 雨乞の楠」。
立札の説明にはこう書かれていました。
「日本最古の楠(樹齢3,000年)で後冷泉天皇の御代(900年前)伊予国守藤原範国(のりくに)は能因法師を使者として祈雨の為参拝させた。其の時『天の川苗代水にせきくだせ 天降ります神ならば神』と詠じ幣帛に書付け祈請したところ伊予国中に三日三夜雨が降った(金葉和歌集)と伝えられている。」
「天の川苗代水にせきくだせ 天降ります神ならば神」は現代語に訳すと「天の川の水を堰き止め、苗代に水を落としてください。雨下ります神よ」といった意味。
恵みの雨を降らせてくれた木。
でもきっと、この木ならできるんだろうなと思えるような大きな力を感じました。
それにしても樹齢3,000年、気が遠くなるような長さです。
私はこの神社の楠たちを見るのを楽しみに来たのですが、こちらの楠は実際目の前で見ると、なんだかとても優しい印象でした。
3,000歳以上とは思えないような力強さもありながら、優しくやわらかいような感じ。
大山祇神社は「呼ばれる」という話を聞いたことがありますが、呼んでいただけたのか、この神社に足を踏み入れさせていただいた私を見守ってくださっているような心地よい感覚になり、しばらくぼーっと前に立って見ていました。
それにしても3,000年、地球や日本や大三島やここを行き来する人々や生き物をどんな気持ちでご覧になっているのでしょうか。
神社にもそれぞれ紋があるのですが、大山祇神社の神紋は三本の線が波打つような形状をした紋章で、「折敷に揺れ三文字(おしきにゆれさんもじ)」や「隅切折敷縮三文字(すみきりおしきちぢみさんもんじ)」と呼ばれます。
「折敷」とは神事や儀式で供物を捧げる際に使用される白木の台で、様々な形のものがありますが大山祇神社で用いるのは「神が宿る場、天地の調和、自然の秩序」を表す八角形のもの。
波型「三」は瀬戸内海の穏やかな波、大山積大神(おおやまづみのおおかみ)が山と海の恵みを授ける神であることを象徴しています。
「折敷に揺れ三文字」「折敷に三文字」は、この神紋だけでなく古来から近代まで今治の象徴的な存在として様々なところで使用されており、その代表的な例として、大山祇神社の氏子でもあった越智氏が家紋としても使用しています。
歴史文学書「太平記」にも、越智一族が鎧の印に「折敷に三文字」を使用したという記述が残っています。
「越智」と言えば・・・
この今治しまなみ通信の発行元の代表も越智さん。
そしてその越智代表が社長を務めていて、この今治通信の発行元でもある「大三建設」の「三」はまさにその古代伊予の豪族・越智氏に所以しているそうです。
越智代表の家紋はまる型の中に三つ引きなのだそう。
三本線の紋、大三島の名産品、大三島饅頭にも発見。
本殿正面にそびえる御神木は「小千命-おちのみこと(乎知命)御手植の楠」と呼ばれ、樹齢は2600年以上。
こちらは最初にご紹介した楠とはまた違ってエネルギーが溢れ出ている感じがしました。
太い枝がのびのびと広がっていて、お天気が良かったので下から見上げると枝葉の間から差す太陽の光もきれいで温かく、エネルギーチャージスポットのような感じ。
私と同じように、ゆっくりと木の周りを見物している方が何人かいらっしゃいました。
どこから来たのかどんな人たちなのかわからないけれど、癒されるな、心地いいなという感覚、同じなのかな考えるとなんだかほっこりしました。
縁結び、結婚運、仕事運、勝負運、健康運のご利益があるとされる大楠は、息を止めて木の周りを3周すると願いが叶うというジンクスがあることを後で知りました。
私はそんなジンクスは知らずにぼーっとただただ眺めて写真を撮っていましたが本当に浄化されてエネルギーチャージされたような気がしました。
息を止めて3周、御神木はなかなかの太さがあるので速く走らないと辛そうです。
このほかにも神社内の38本の楠群は、日本最古の原始林社叢の楠郡として国の天然記念物に指定されています。
大山祇神社の拝殿は国の重要文化財に指定されています。
切妻造り(きりづまづくり)、素木、唐破風付き向拝、屋根檜皮葺き。
室町初期に再建されたものです。
温かみがありながら厳かで、まさに「神の島」の所以ここにありといった雰囲気。
神聖で、清々しい空気が流れていて、自分自身も清い心で参拝したいと思う拝殿です。
大山祇神社は、山の神・海の神の兼備の大霊神であり、戦いの神としても崇められてきた神社で、戦勝祈願・勝負運・開運といった強力な御利益があるとされています。
日本総鎮守(にほんそうちんじゅ)とも言われています。
そのパワーにあやかるべく、これまで様々な著名人が訪れています。
日本最大の海賊といわれた村上水軍はもちろん、天皇陛下や初代総理大臣・伊藤博文などの政治家、旧帝国海軍の連合艦隊司令長官の山本五十六、現代は海上自衛隊や海上保安庁も。
そしてFC今治もシーズン前に必勝祈願を行っています。
女性の皆さまに特に知っていただきたいエピソードがあります。
それは「鶴姫」のお話。
戦国時代、大山祇神社の宮司の娘の鶴姫(つるひめ)が、隣国からの侵略に対して自ら戦場で戦っていました。
その采配と勇気は見事なもので、農民や漁師、元武士も彼女を支持し立ち上がり、見事に敵を撃退します。
現代では「瀬戸内のジャンヌ・ダルク」とも言われています。
なんてかっこいいのでしょう。
しかし一説では鶴姫は恋人を戦死で失ったことを深く悲しみ、あの世で恋人と結ばれるために18歳で自ら命を絶ったとも言われています。
切ないですね。
大山祇神社にはその鶴姫の愛が残っているとされ、縁結びのご利益や女性を守ってくれるご利益があると言われています。
私は同じ女性として、あの時代に、男性を率いて島を守るべく戦った若く勇敢な姫に心惹かれました。
今回は時間の都合で拝観ができなかったのですが、全国の国宝・国の重要文化財の指定を受けた武具類の約8割が、ここ大山祇神社宝物館に保存展示されているのです。
甲冑の保存は全国一。
日本最古の大鎧や、源義経、源頼朝の鎧、大森彦七所用の国宝の大太刀等も収蔵されています。
宝物館に収蔵の宝物は国宝8点、県重要文化財14点、国重要文化財はなんと469点。
このことから、大三島は「神の島」でありながら「国宝の島」ともよばれているのです。
なんて夢のある島なのでしょうか。
神の島・大三島に鎮座し、とても神聖な空気が流れる大山祇神社。
今治の中でもとても大きな存在です。
今回は前編で、次回後編は奥の院の生きた樹の門、「生樹の門」や神社の参道、港までのぶらり散歩風景もご紹介します。
山の神・海の神・勝負の神としても崇められ数々の有名人が参拝し結果を出している四国随一のパワースポットにこのGW、お出かけしませんか?
今治しまなみ通信公式Instagramではより多くの写真や動画でご紹介しているので、是非ご覧ください。
◆大山祇神社
住所:〒794-1393
愛媛県今治市大三島町宮浦3327
電話:0897-82-0032
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